2022/10/13 20:03
続いての天然石紹介はサファイアです。色味が強く、透明度が高いものは海の色とも空の色とも違う独特の青。
希少価値の高いものの中にはスターサファイアと呼ばれるような星彩効果を持ち、石の表面で六条の光の束が現れるものも。青色のイメージが強い石ですが、濃い赤色以外は様々な色があるサファイア。今日はそんなサファイアの魅力に迫ります。
サファイアの魅力と特徴
・カラフルなバリエーションを有し、色の選択肢が豊富
サファイアといえば青。
イギリス王室御用達として有名な濃い青みが特徴のロイヤルブルーや、やや明るい青色のコーンフラワーブルーといったサファイアの最高品質の代名詞と言っても良いものはやっぱり青(厳密には特定の産地で取れたものサファイアにのみに使われる呼称のようですが、少しずつ色味の判定に対しても使われるようにもなってきているみたいですね)。
そもそもサファイアの名前自体がラテン語やギリシャ語で「青」を意味する単語からきていると言われていますし、その昔は青い石は何でもサファイアと呼ばれていたなんて話もあるくらいですから、イメージとして青なのは当然と言えば当然。
ただサファイア自体はコランダムと呼ばれる鉱物で酸素とアルミニウムで出来上がっていて、それ以外のわずかに含まれる内包物(不純物)に応じて色が変わってきます。
例えばチタンと鉄が含まれれば青色、クロムが含まれれば赤というように…。
赤色のものは同じコランダムでもルビーと呼ばれますので(ルビーとサファイアは化学的に見たら同じ鉱物です)、赤色のサファイアはないのですが、その他の色であればそのラインアップは実に豊富。
ピンク、バイオレット(紫)、パパラチア(ピンクよりのオレンジ)、オレンジ、イエロー、イエローグリーンにホワイトといった色が代表的なものとしてあり、青以外のサファイアは総称としてファンシーサファイアと呼ばれています。
後述するように硬度も高い石ですから、欲しい色の宝石が決まっていたらまず身につけやすいサファイアで探してみるのもありですね!
・硬度が高いので普段使いにも安心
どんなにきれいな石でも硬度がないと欠けや割れが気になって身につけにくいということで宝石としての価値が下がってしまいますがその点、ダイヤモンドに次ぐ硬度を持つサファイアは安心です。
やっぱりきれいな石でかつ身につけるときに傷がついてしまう不安がないのは大きなメリット。
前述のとおり色合いも豊富ですので、特定の石へのこだわりがなく、好きな色の石を探すときの選択肢に常に入ってくるポテンシャルを秘めた石だと思います。
なぜサファイアには価値があるのか
現在のサファイアの主な生産国はオーストラリア、ミャンマー、カンボジア、マダガスカル、スリランカ、タイ、中国などです。
最も古い産地とされるのはスリランカですが、現地で多かったヒンドゥー教徒からは凶星とされていた土星の象徴する石として扱われたこともあって不吉な石として取り扱われることもあったのだとか…。
一方で同じく多い仏教徒にとっては宝石の中でも特に価値の高いものとして扱われたとか…このあたりの話は同じものであっても文化とか宗教とかの影響で人の考え方ひとつでものの価値なんて変わってくることを示唆する興味深い例ですよね。
その美しさは人々を魅了し、ある国ではサファイアは地球を支える土台の一部であり、その反射で空が青いのだと信じていたり、また別の国ではサファイアを水に浸すとサソリやヘビのかみ傷に効く薬になると信じられていたり、モンゴルの皇帝・フビライハンは訪ねてきたマルコポーロから献上されたサファイアに魅了され、好意的なもてなしを受けたという逸話も残っているとか。
やはり宝石の美しさは理屈ではなく、人智を超えた超常的な力を持つと信じさせてしまう力があるようです…だからこそ、そこに価値を見出されてきたのでしょう。
現在のサファイアの価値を決める要素としては色(同色であれば色が濃いほどよいとされています)、クラリティ、カラット、原産地(サファイアの場合、産出国によって色あいなどの特徴があり、特有の名前をつけるなどしているため他の宝石より重視されるようです)、加熱処理の有無(加熱処理をすると色味が深くなるため、ほとんどのものが加熱処理されています、加熱処理なしにキレイな色が出ている石は価値が上がります)といったものがあります。
サファイアに内包物があると一般的には価値が下がりますが、中にはスターサファイアと呼ばれるような星彩効果を持ち、石の表面で六条の光の束が現れるものがあります。
これは石の中に別の鉱物の細かい針状の結晶が並んでいることで、そこで光が反射されて星のような模様になることで成り立ちます。
見た目がきれいであれば、内包物があっても価値が上がる、やはり客観的な基準というよりも主観的な基準で価値が決まる側面はありますね。
最終的には人が物とつけられた価格を見て買う買わないを決めるので当たり前といえば当たり前なのですが…。
現状の枠組みではそこまで評価されないけど、自分にとっては好み…そんな石を見つけられればお得感を伴う、自分にとっての"良い買い物"ができそうですから、資産目的で購入する場合を除いては市場価値に引っ張られ過ぎずに自分なりの「好き」を大事にしていきましょう!